膝関節の靭帯は主に4本あり、膝の前後左右に対する支持を行っています。
その1つである前十字靭帯は前方に対する支持をつかさどっており、関節の
中にあるこの靭帯は、下腿骨が前方にずれないようにする働きがあります。
よって、この靭帯が損傷すると下腿骨が前方にずれてしまい、膝折れ現象が
おこります。特にスポーツを行う上では影響をもたらします。
前十字靭帯の損傷は、特にバスケットボールや柔道などの種目に多くみら
れ、サイドステップなど急な方向転換や、膝のひねり動作を行った際によく
おこります。このような運動中に「ボキッ」という感じがあり、その直後か
ら運動が引き続きできなくなって、1〜2日の間に関節の腫れがあれば、前
十字靭帯損傷を起こしている可能性があります。また、急性期の症状が落ち
ついても、階段降りる時や下り坂などで膝関節の不安感・痛みを感じたり、
歩行中膝が「ガクッ」となったりします。もし上記の症状があれば、
診察をうけMRI等の検査をする必要があります。
前十字靭帯損傷の治療法としては、保存療法と手術療法の2通りがありま
す。まず、受傷直後は痛みを和らげる為のテーピング固定等を1週間行い、
その後膝関節の可動域訓練(リハビリ)を施行し、また並行して周囲の筋肉を鍛える運動療法を行います。その間、アイシン
グや湿布等も併用します。しかし、これらの保存療法による治癒率は低く、
治療後も日常生活やスポーツを行っているときに、膝関節の不安感や恐怖感
が残るようであれば手術療法を勧めます。手術は内視鏡下で行う方法等があ
りますが、手術を行うためには約2週間の入院が必要となり、また手術後約
3ヶ月〜6ヶ月リハビリと筋力をつけるための運動療法が必要となります。
また、ゲーム参加を含めたスポーツへの完全復帰は筋力評価測定機(バイオ
デェックス)により筋力測定をしスポーツ復帰が可能か不可か判断し、個人差
はありますが、6〜7ヶ月となります。
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