上腕二頭筋断裂とは、腕の力こぶを作る筋肉の断裂であり、断裂する場所により
1.長頭腱皮下断裂(肩に近い場所)
2.筋腹断裂(筋の中央部)
3.遠位腱皮下断裂(肘に近い場所) に大別されます。(図1)
腱断裂はほとんどの場合、長頭腱皮下断裂であり、多くは中年以降(40代以降)の肘を曲げて重量物を持ち上げ、腕を常に拳上している労働者に発生頻度が多く、また、ラグビーやフットボール等の激しいコンタクトスポーツや、重量挙げ、体操等の強い筋力を使うスポーツ、テニスなどの弱い力が繰り返し加わるスポーツに起こることがあります。
上腕二頭筋長頭腱というのは、肩のあらゆる運動に関与し、構造的にも障害を受け易い場所で、特に肩を挙げる時は結節間溝部で上腕骨を押さえつけ支点とする役目をなし、この部分で腱は約90度の角度を持って下方へ走行しています。(図2)それらの特徴によって長期にわたる肩、肘の過度使用により腱の変性・弱化で圧迫されることにより、結節間溝部の骨棘(軟骨の形成等)因子が加わって断裂が発生します。
治療法は、年令、断裂している場所、痛みの程度、活動性により、手術療法か、保存的療法かに分類します。手術対象になるのは筋腹断裂・遠位腱皮下断裂がその対象となり、その他のものは、内出血を取り除くディープティッシュマッサージ(強擦)とストレッチ・機能回復訓練をし、程度によっては1週間程度のテーピング固定もします。早期に一連の治療が出来なかった場合や内出血を取り除くディープティッシュマッサージ(強擦)とストレッチや機能回復訓練が不十分なものは(図3)変形が残り、軽度の筋力低下も認められることもあるが日常生活にはほとんど支障はありません。
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