関節の脱臼はスポーツや日常生活など様々なシーンで発症します。関節を形成する骨と骨の位置が完全にはずれた状態、または関節からはずれかかった状態である亜脱臼があります。外傷性脱臼はラグビーやアメフトなど、コンタクトプレーの多いスポーツにより受傷するケースがほとんどである。例外に生まれつきに脱臼をしやすい体格の人もいます。
完全に脱臼した部位は、まず正常な関節状態に整復することが急務であり、初回脱臼の場合は自分自身で正常な関節状態に整復することが困難である。正しい整復方法を知らずに無理に整復すれば、骨折や関節周辺の軟部組織を損傷することがあります。
亜脱臼の場合は、正常な関節状態に自分自身で自然に整復できるケースがほとんどであるが、骨折や関節周辺の軟部組織の損傷を伴うことも少なくありません。
また、初回脱臼の際は適切な固定や筋力強化を含めた治療を怠れば、再脱臼を起しやすく、反復性脱臼になります。必ず固定と的確な治療を受けることをおすすめします。脱臼を幾度も繰り返せば、自分自身で整復できる反面、関節包や靱帯などの損傷程度が重度になります。
アイスマッサージ・アイシング・湿布・電気治療(超音波・中周波)などで痛みを軽減させ、テーピングやブレス(固定具)にて所定期間固定します。固定具除去後は関節可動域訓練を中心としたリハビリと安定性を強化する筋力トレーニング(肩であれば、インナーマッスル=棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)も並行しトレーニングを行い、筋力のサポートにより不安定性を補強します。
日常生活動作においても脱臼し、生活に支障をきたす場合は手術の選択は必要不可欠になります。関節の損傷程度と現在おかれている生活環境、日常生活動作レベル、スポーツ環境、スポーツの活動レベルなどを考慮し手術が必要か否かの判断は必然となります。全くスポーツ活動を中止し手術が必要な損傷の程度か、スポーツ活動の制限と治療・スポーツリハビリでスポーツ復帰が可能な損傷の程度か、あるいは軽度にスポーツ活動が可能な損傷の程度か、徒手検査で関節の状態確認とMRI画像で損傷の程度や軽微損傷を確定する診断が必要でしょう。このように関節内の損傷程度がどういった状態か、徒手検査や精密検査などにより正確な判断を要します。
的確な判断を怠るとスポーツ活動の長期離脱も余儀なくされ、日常生活動作に支障をきたし、手術選択が避けられない状況になりかねません。間違った判断や自己判断はいたずらに治療を長引かすことになります。かならず指示を守り、適切な治療・指導を受けましょう。
|