野球肘とは繰り返しの過度の投球動作が誘因となって、肘関節の軟骨部、靱帯、
筋腱付着部が傷害され発症するスポーツ障害です。
成長期の子供は成人と比較して骨格が未発達で、特に関節部では骨端線といわれる成長軟骨部が存在しており、この部分は力学的に脆弱であり関節にかかるストレスを受けやすい部分でもあります。
また筋力においても発達途上であり、投球動作時にかかる負担は必要以上に大きいと思われます。
野球肘は外側型、内側型、後方型と障害される部位によって分けられており
(ほとんどの場合は内側に発生しているといわれている)、また各型において骨軟骨部の障害、靱帯の障害、筋腱付着部の障害と様々な病態を示し、投球時痛、肘の屈伸運動が制限されるなどの症状が現れます。
治療としては内側型、後方型の大部分は数週間の投球動作の禁止、リハビリ(電気治療、ストレッチなど)により症状は改善します。(図-1)
特に問題となるのは外側型の離断性骨軟骨炎で、進行とともに関節面の不正が生じ
変形性関節症へ進展していく危険性がおおきいといわれています。
治療としては軟骨部の損傷程度により投球動作禁止を初めとする運動制限を指導する
いわゆる保存的治療か手術的治療かに分かれますが、保存的に3カ月以上経過観察し、軟骨部の修復傾向が見られない場合は手術適応になるといわれています。
スポーツ復帰は軟骨修復程度によりますが早くても6カ月遅ければ1年くらいの期間が必要であるといわれています。
スポーツによる肘関節障害は何よりも予防と早期発見が重要です。
特に成長期の選手の場合、指導者が過度の投球回数、過密な試合日程を考慮し、個々にあった練習内容を指導し、もし肘関節に痛みや関節の動きが悪ければ
早期に医療機関へ受診させることが必要であると思われます。
なお、わからない点があればスタッフにご相談下さい。
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