膝蓋骨が外側に外れる症例で、女性に多くみられ、スポーツ中など、膝を曲げた状態で力を入れ、ふんばった際に膝蓋骨が脱臼します。膝のお皿は外側に向かって動きやすく、膝を曲げ、内側から横に押すとガクッと外側に外れることがあります。完全脱臼よりは亜脱臼が多くみられ、脱臼後は自然と原状にもどることが多く、日常生活にはあまり影響がないため習慣性に移行し、習慣性脱臼になれば、スポーツ活動に支障をきたす場合があります。
脱臼の原因は膝蓋骨が位置する大腿骨の形状や膝蓋骨の形状の異常や、膝蓋骨の位置異常などがあります。
脱臼をすれば、膝蓋骨の関節軟骨損傷や骨折を合併することがあり、画像診断(レントゲンやMRI)により的確な診断が必要です。
治療法は、保存療法と手術療法があり、保存療法はアイシング、アイスマッサージを行い、損傷程度が軽度の場合はテーピングで固定を行います。損傷程度が強度の場合は松葉杖とテーピング固定、あるいは装具による免荷固定を行い、習慣性脱臼には脱臼防止用の特殊な固定装具(プレース)を行います。
疼痛が軽減すれば関節可動域訓練と大腿筋強化メニューやスポーツリハビリを行い、運動段階を徐々にレベルアップをしていきます。習慣性脱臼には、固定装具を行ったまま大腿筋強化メニューやスポーツリハビリを行います。
スポーツ種目によっては保存療法で、スポーツ現場に復帰できないケースや、手術選択が必要な場合もあります。したがって、骨軟骨損傷の程度がどういった状態か、精密検査などにより正確な判断を要します。また、現在おかれている生活環境、日常生活動作レベル、スポーツ種目やスポーツの活動レベルなどを考慮し手術が必要か否かの判断も必要です。
的確な判断を怠ると日常生活動作にも支障をきたしかねません。かならず専門医の指示を守り、適切な治療・指導を受けましょう。
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