アメリカンフットボールやラグビーなど、コンタクトスポーツに多く見られる症状で、肘や膝などで強度な打撲を受けた際に発症しやすく、大腿部の前面や側面に多く見られ、打撲などの外傷後に骨膜・筋線維・毛細血管が損傷を受け、血腫(筋肉内で血液がたまるもの)が発生します。この血腫が二次的に筋肉内に骨形成するものを骨化性筋炎といいます。症状は一般的に、患部の腫れが強度で熱感や皮膚表面は赤く、時には青紫色の出血斑も見られ、まれに屈伸制限・歩行や運動障害など日常生活動作にも支障をきたす場合もあります。受傷直後は出血や腫れを最小限にするためRICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)は必要不可欠になります。
治療は血腫を軽減させるティッシュマッサージ(強擦)や筋肉に軽度の伸張を与えるストレッチングを施行し、筋肉の硬直を防止させます。従来のスポーツ医学では絶対安静・固定が主流でしたが、現在のスポーツ医学では積極的治療が主流になっています。この症状は専門性の高い治療と治療計画が求められます。したがって、スポーツ医学を熟知した専門の治療者にゆだねるのがよいでしょう。
損傷程度及び活動制限の必要性など、現状の正確な判断が求められ、全てのスポーツ活動を中止すべき損傷の状態か、スポーツ活動を部分的に制限し、治療及びスポーツリハビリでスポーツ復帰が可能な損傷の状態か、あるいはテーピング等で軽度にスポーツ活動が可能な損傷の状態かなど、損傷レベルの的確な判断・治療・指導及び適切な処置が必要です。
受傷後2週間程度ではレントゲン画像で骨形成が認めにくいため、受傷初期にはレントゲン診断は有効的でない場合があります。しかしながら一定期間経過後も症状の憎悪や症状が不変な際は精密検査も必要になります。その際、レントゲン画像で明らかな骨形成が認められ、可動域制限や運動時の痛み、筋力低下、運動障害などが残存する場合は手術選択というケースもあり、損傷状態や現状の把握は必要不可欠です。
的確な判断を怠るとスポーツ活動の長期制限を余儀なくされ、日常生活動作にも支障をきたすことになり、手術選択の場合もあります。自己判断や間違った判断はいたずらに治療を長引かすことになりかねません。安易に打撲と軽視せず、適切な治療・指導を受け、適切な処置を心がけるようにし、かならず専門医の受診をしましょう。
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